日本でも幾種の藍植物が染色に用いられてきましたが、「日本の青【Japan Blue】」として、その美しさや効用が世界に知られたのがタデ科の「蓼藍(白花小上粉)」です。
日本では、100日もかけて藍葉を発酵させた染料「蒅(すくも)」を、堅木の灰汁で溶き、大きな甕に何日もかかり「麩(ふすま)」、「石灰」、「灰汁(あく)」、「日本酒」と共に発酵させ、その液中で幾度も染め重ねる「天然灰汁醗酵建藍染(てんねんあくはっこうだてあいぞめ)」という技法が、四季のある日本で、1年中藍染ができるよう考案された、世界に類を見ない日本の染色技術です。
この日本が誇る「藍染」は、世界大戦時に食料増産のため、蓼藍が禁止作物となりました。しかし、蓼藍は、1年草です。そのため、1200年を超える「日本の青」の歴史が幕を閉じることになろうとしました。このことを悲しんだ小さな藍屋の17代目 佐藤平助は憲兵からのがれ、蓼藍(白花小上粉)の種を取り続けました。
この蓼藍(白花小上粉)は、江戸時代の藍大市で「瑞一」という一級の藍屋に与える称号を独占し、多品種に比べ現在の解析でも2〜2.3倍多く有用成分を含む事が調べられております。また、僅かながら蒅の製造も行われております。
最近では、藍染製品が人気を復活し、Japan Blue(ジャパンブルー)と呼ばれ、日本の心の色が見直されています。
しかし、残念なことに長い間、忘れられていたため、藍色をしたものであれば、「本藍染」、「正藍染」、「天然藍染」と表示され販売されているのが現実です。