藍は大地からのさずかりもの。肥沃でなければ、育たない。でも、正しく手間をかければ、すくすくと育ってくれる。
耕す。 育てる。 天日で乾燥。 醗酵。藍建て。2年以上の時間をかけて、美しい藍は季節を重ねて磨かれていく。
藍を作る。朝、 昼、 晩。 毎日、 藍と対話する。藍の機嫌をうかがいながら、慎重に。こちらの勝手な都合で藍は染めさせてくれない。
でも、正しく手間をかければ、答えてくれる。
本藍染 雅織工房は徳島県の佐藤蒅(すくも)を使い染液の醗酵(藍建て)、維持まですべての工程を昔ながらの方法で生産を行っております。
天然100%を守るために、素材にこだわっています。自然の恵みから生まれる藍染は、そのありのままの素材の力を引き出すため蒅(すくも)、灰汁、消石灰、日本酒、麩(ふすま)という限られた素材だけを使用します。
そのためには佐藤家だけが守りつづけるすくもが不可欠です。
蓼藍は一年草のため、種をとり続けなければなりません。
世界対戦時に禁止作物となりながらも、17代目佐藤平助は憲兵からのがれ、姪の岩田ツヤ子と共に蓼藍/白花小上粉種の種を取り続けました。
江戸時代、「瑞一」という一級の称号を独占した「白花小上粉」は現在、1軒のみ、すくもの製造のために栽培されています。
雅織工房の藍染は化学染料で安価に大量生産できる技術ではなく、
染色する前に多大な時間と労力を必要とする製法です。
蒅(すくも)・灰汁・石灰・日本酒・麩(ふすま)だけのシンプルなレシピが
藍そのものが本来もっている美しい色を引き出すことができます。
淡い色を染めるにも何度も何度も染め繰り返して、少しずつ色を重ねていきます。
その年の藍の出来や、染める日の藍の状態により、微妙に深みが変わるその青は同じものは一つとない、一点ものです。
仕上がりや染まりつきに影響するためのかかせない作業。
不純物を十分に洗い落し、3時間以上流水にさらしてから藍甕に浸していきます。
長年の経験と研ぎ澄まされた感覚で一点一点染め上げていきます。
ちょっとした手加減が、仕上がりに大きな差を生みます。しっかり絞り上げることで、藍が生地へ十分に入り込み、色の強度を上げていきます
目で確かめながらの手洗いは、藍の色目に影響を与える大事な作業。
何時間も流し水をしながら、水中の酸素も利用することで色の強度が格段に違ってきます。
決して、急いで染め上げてはいきません。数日にわたって染め上げることで色を落ち着かせ、藍はより深く糸に浸透し、丈夫にしていきます。
このひと手間に職人としての思いを込めていきます。
生地の特性を見極めながらの後処理。余分な藍を落とすことで、色が冴えわたり、藍の色を最高の状態にする大事な作業。
色落ち・色移りの少ない藍染めを目指して作っています。
藍は生きものです。生地に染まりついた後でもまだまだ変化しやすい状況が続きますが、それも藍染めの魅力です。
当工房の藍染めを選んでいただいたお客様に藍のある暮らしをしっかりお伝えしていきます。